文化財修復
2021/12/01更新
唐門修復情報 錺金具工事vol.2「錺金具の修復」
錺金具の修復(2018年11月~2019年4月実施)
錺金具の修復は、洗浄・補修・箔押しの手順で行われます。
洗浄は、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)で汚れや塗料を落とし、薄めた硫酸に漬けて錆を除くことにより、古くなった漆箔が剥がれ、地金の銅があらわれます。なお、この工程は、2回繰り返すことで錆止めの効果を発揮します。

洗浄作業
錺金具の洗浄後、損傷した箇所の補修を行います。歪みや凹凸がある箇所は、模様が潰れないように木槌で修正します。また、欠けている箇所は、ロウや銅板で接着・補強して形を整えます。
補修後、錺金具の表面に漆を塗って全面に金箔を押します。

補修作業(整形)

補修作業(ロウ接)
箔押し後は、細い筆を用いて金箔の上から墨を差していきます。金箔は、墨を弾いてしまうため、墨差しと拭き作業を交互に繰り返し墨を定着させます。
仕上げに損傷・汚れ防止のために透明な塗料でコーティングを施して修復完了です。
修復を終えた錺金具は、唐門に取り付けていきます。

箔押し作業
※ 写真提供 森本錺金具製作所