文化財修復
2019/03/26更新
唐門修復情報 漆工事Vol.1「彫刻を引き立てる黒漆の修復」
彫刻を引き立てる黒漆の修復(2019.3.15)
唐門の漆工事が始まりました。門全体に塗られた「黒漆」は、極彩色の彫刻を引き立て、唐門をより艶やかに演出する大切な存在です。また、漆は木材を保護する役割も担っています。
修復では、まず、紫外線や風雨で劣化が進み光沢が失われた漆や、亀裂が入り傷んだ箇所を掻き落とし、下地の調整を行います。 この下地の段階で塗面を凹凸なく平らに仕上げることが重要で、少しでも下地に歪みがあると、漆を塗った際に表面が美しく仕上がりません。 そのため、錺金具などを止めていた釘穴には細い棒で埋木を施し、亀裂のあった箇所は、「刻苧」と呼ばれる漆に木くずや綿を混ぜたパテを埋め、場所によっては布をあてたりして、何度も調整を行い、下地を平面に仕上げていきます。

漆塗修復作業前の扉(南東側)

「叩きのみ」という道具で漆を掻き落とす

傷んだ箇所を慎重に掻き落としていく

刻苧で塗面の凹凸を埋める様子